国際交流ワークショップB

日本4日目(横浜)

 

Creative “Machizukuri” under Collaboration among Civil Society Organization, and Government and Private Sectors in Yokohama City

日本の市民参加型まちづくりについて、先進的な取組みを行う横浜市を対象に紹介を行った。まず、ICTを活用した市民参加の仕組みづくりを進める専門家からご講演を頂いた。その後、市民・行政・警察が一体となり、赤線地区を一掃し文化芸術のまちづくりを進める黄金町地区の見学を行った。ランドマークタワーから横浜市の景観を一望した後、日加における市民参加の仕組みの違いについての議論を行った。

公民連携のまちづくり

横浜市は、少子高齢化、財政基盤の脆弱化、社会インフラの老朽化など、課題が多様化する中、将来を見据えた現実的な対応が必要とされているが、日本最大の基礎自治体であるため、規模と多様性から行政課題が複雑化している。行政の資源やノウハウが限られる中で、公共サービスに対する市民ニーズに的確かつ持続的に応えるには、企業やNPO、大学、市民団体のような民間事業者の力の活用が重要とされてきた。そこで、横浜市では、「社会的課題の解決を目指し、民間事業者と行政の対話により連携を進め、相互の知恵とノウハウを結集して新たな価値を創出すること」を「共創」と捉え、公民連携により、事業を進めている。

また横浜市では、「共創」を進めるための仕組みとして、民間事業者からの提案窓口である「共創フロント」、市民社会とのオープンな対話と交流の場として、「共創フォーラム」を開催している。「共創フロント」は、行政と民間が互いに対話を進め、横浜市が抱える社会的な課題の解決と新たなビジネスの機会の創出を目的としており、民間事業者からの提案は、横浜市政策局共創推進室が、民間事業者と横浜市役所の各区局との間で、公民連携のハブの機能となり、提案の実現に向けた調整を行っている。「共創フォーラム」は、様々な主体が横浜の社会的課題について対話し、解決策を見出すことを目的とした、交流の場であり、2008年から開催している。毎年3回ほど開かれ、様々なテーマでの講演から、横浜市の行政課題や地域課題の解決に向けた公民連携の可能性について、対話が行われている。

 

共創フロントの仕組み

説明の様子

説明の様子


横浜コミュニティデザイン・ラボ

 横浜コミュニティデザイン・ラボは、地域のまちづくりに対して、人・団体・プロジェクト等の地域資源を活用する仕組みや、市民が地域のまちづくりを主体的に捉え、まちづくり活動への参加するための仕組みづくりを行っているNPO法人である。コミュニティデザイン・ラボでは、横浜の地域資源を活用する事で、地域情報を市民の「共有財」として「まちづくり」に活用する仕組みづくりに取り組んでいる。

 2003年のNPO認可以降、メディア発信、Co-ワーキングスペースの運営、LOCAL GOOD YOKOHAMAの運営、の3つの活動を行っている。

 活動の1つ目はメディア発信である。コミュニティデザイン・ラボでは2004年よりWeb地域メディア「ヨコハマ経済新聞」を刊行しており、地域情報の発信を行っている。

 2つ目はCo-ワーキングスペースの運営である。Co-ワーキングスペースとは、事務所スペースを共有しながら、多様な主体が独立した仕事を行う場所を指す。会場となったさくらWORKSは、コミュニティデザイン・ラボが運営するCo-ワーキングスペースの一つである。

 3つ目は、LOCAL GOOD YOKOHAMAの運営である。地域課題と課題解決者の見える化を行えるプラットホームの運営を行い、多様な主体に地域課題解決参加を促す仕組みの提供を行っている。

 LOCAL GOOD YOKOHAMAを用いた課題解決プロセスは、3段階に分けられる。

  1. 地域課題の集約:ウェブサイト上に横浜市が持つオープンデータが提供され、地域市民が地域課題を投稿する事で情報のプラットホームが構築される。
  2. 課題の見える化:収集したオープンデータや地域住民の声を、インフォグラフィックスや地図を用いて、誰が見ても分かりやすい形で情報提供する。
  3. 地域住民の参加を促し課題解決を図る:クラウドファンディングとスキルマッチングの2つの機能で、多様な主体の参加を促し、地域課題解決のためのまちづくり活動を支援する。

LOCAL GOOD YOKOHAMA (HPより抜粋)


黄金町のまちづくり

 黄金町は初黄・日ノ出町地区という初音町、黄金町、日ノ出町の三町にまたがる地区であり、京浜急行電鉄黄金町駅から日ノ出町駅に至る高架沿線のエリアである。戦後の復興期には、高架下の地区の一部に特殊飲食店が集積した。阪神淡路大震災を受けて京浜電鉄が高架の耐震改修を計画し、高架下の小規模飲食店が立ち退きを求められたことで、小規模飲食店が立ち退きによって鉄道高架に隣接した周辺地区へと拡散し周辺環境の悪化が引き起こされた。

 この危機的状況に対して地域の住民が立ち上がり、町内会役員、近隣の中学校PTAを中心に、安全で安心なまちを実現することを目的として「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」が設置された。これを皮切りに、以降黄金町では行政・地元・警察・大学が一体となって安心・安全のまちづくりに向けて取り組みが継続されている。

 特に「黄金町バザール」は、横浜市が京浜急行の協力を得て開催されたアートイベントであり、地区のネガティブなイメージの改善に寄与している。高架下の空きスペースやテナントを改修・活用し、アート作品の展示会場やアトリエとしての用途転用する等、文化芸術のまちづくりに向けて取り組まれている。

 なお、イベントの開催やテナントの維持管理に重要な役割を果たしているのが「NPO法人 黄金町エリアマネジメントセンター」である。このNPOは、バザールの開催後も継続してまちに関わるために、地元の関係者や専門家が中心となって立ち上げられており。借り上げた店舗の改修や入居者の公募・選定などの管理業務を行っており、現在までに管理する施設は面的な広がりを見せている

まちあるきの様子

まちあるきの様子