国際交流ワークショップA

カナダ2日目(kensington Market, King Spadina, Under the Gerdiner)

Kensington Market

Kensington Marketにてトロントのダウンタウンの中でも、際立って多文化的なエリアである。市場は比較的古くから存在するエリアであり、2006年にNational Historicに登録されている。当地区の背景として、20世紀初頭は「ユダヤ人の市場」として密集市街地となっていたが、1950年代以降中米と東アジアからの移民が多く流れ込み、ベトナム戦争後にはアメリカ政治的避難民が多く移り住んできた背景や、東隣に形成される中国人街などの影響から、カウンターカルチャーの聖地となっている。また、現地では、トロント最大の自転車利用促進を目的とした市民組織の活動や街中のアート作品の紹介などを受けた。


King-Spadina地区

King-Spadina地区は、歴史的建築物が多く残る市街地を形成しており、金融街からも近いダウンタウンであるため開発圧力が高いエリアである。King-St.沿いの地区の再生が課題とされてきたが、民間活力の導入による新規開発や、エンターテイメント地区としての機能が高まっている。実際に歩いてみると、ゾーニングや土地利用規制によって歴史的建造物の保全がなされ、その建造物を活用してNPOによるコワーキングスペースやギャラリースペースの運営による社会起業家やアーティストの活動支援の様子を見学した。日本では見られない規模で非営利組織や市民団体による多様で自由闊達な活動が行われていた。


Under the Gardiner

 2017年より進行するGardiner Expresswayの高架下を活用した、市民参加型大規模開発プロジェクトThe Bentwayの現場を歩き、プロジェクトの進行を中心として務めるKen Greenberg氏から話を伺った。

 人口増加による都市の拡大と車依存社会への変化に伴い1955年に建設されたトロントのウォーターフロントとダウンタウンの間を東西で通す高速高架道路Gardiner Expressway1990年以降、深刻な維持管理費のために高架橋の廃止か補強の議論が長年議論されてきた。なかでも、近年のウォーターフロント開発を中心に周辺地域の資産価値の上昇に伴い、物理的に景観上最小限に悪影響を抑えながら、Gardiner Expresswayを建造物の維持と一部撤去の複合案で検討が進んできた。2015年に市民活動家のJudy and Wil Matthews夫妻による2500万カナダドルの寄付を中心にトロント市とウォーターフロント再開発公社による協同体制のもと、1.75㎞にも及ぶ高速道路下を、文化・芸術などを包括したトロントを象徴する公共空間に刷新する計画が進められている。